他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

惻々にして汲々

一日、精神が茫洋としていた。呆と洋を眺めている気分だった。指紋や手の脂で引っかからない、つるつるして実体のない何かをずっと滑り落としているようだった。町田康『浄土』を読み始めた。複数の本を、読み終わっていないのに並列して読む時は、大体精神の調子が下降している時である。この本はおもしろいというか、どこにも繋がらない、どこからも隔離された浮島みたいな短編の集まりであって、私の好きな類のものではあるのだが、これが好きだという人は人間関係が一般に言われる正常ではなかろうなとの感もある。表紙がとてもいい。夜中に浮かび上がったら怖いだろうけれど。なのでこう、精神がいつまで経っても片付かないというか。ひたすら缶詰の中身をこぼし続けている。鯖の水煮の缶詰が、綺麗に積み重なった状態でビニールに詰められてゴミ捨て場にあって、写真を撮ろうかと思ったけれどこれは撮らない方が記憶に残るかなと考えて眺めを流すだけにした。結果としてあまり覚えていないが、あんなに整頓して缶ゴミを出す人がいるんだなとは思った。夜飯は適当なやつにした。適当なものを煮て、シャンタンと鶏ガラスープの素を入れたらできた。出汁が出た後の昆布を齧り取ろうとして、ちらっと匂ったその香りに、あ、いつも嗅いでるあの匂いって、これだったのかと発見があった。私には、益のある事なんてできないんじゃないのか。