他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

一長一中一短

数年ぶりにスイカバーを食べようと思って、袋を開けてずぼっと取り出したら、こんなにデカかったっけ? と戸惑うほどデカかった。一般的な棒付きアイスよりよほど巨大で、これでもおよそ同じ値段なのだから何も言う事はないが、すると質的密度か何かがアレなのかしらと思わないでもない。意図せず大きなインターバルをおいて目にしたスイカバーに、頭の中で「スイカバーのこのピンク、エロ動画でたまに見る亀頭の色にそっくりやな」と思った。低次元だが、本当にそう思ってしまったので仕方がない。何の味なのか分からないが、なんか甘い気がするなあという味と、ぷちぷちした食感をもたらすチョコ玉がスイカバーを構成している事を思い出した。皮の緑色部分が少しだけ違う味がしたような気がするが、分からん。ゴミ箱のフタをきちんと閉めるようにしたので、ゴミ箱周りにハエが飛ぶ事もなくなったし、ぶんぶこ飛び回っていた蝿もどこかに消えた。窓を開けて換気していた時に、どこかへ旅立ったのだろうか。気持ちよく晴れてはいるが、暑苦しくなく、外を歩いていても靴の中で熱気が籠っていややなあと思うくらいなので、これくらいの気候がコンスタントに続いていけばいいなあ。DMM同人(名前は変わったが、ダサいのであちらの名前で読んだ事はないし呼ばない。絶対にだ)で見つけて、琴線を弾いてハイウェイを消えていったサークルは作品更新通知をオンにしているのだが、ものすごく近い間隔で取り憑かれたように鬼のような速度で音声作品を放流し続けるサークルがあって、方向性もかなりとんがって尖り散らしてギンギンにシャイニングしているから一度しか購入した事がないのだけれど、たまの作業としてGmailの受信フォルダを眺めていると、やっぱり新作の通知があって、またカッティングエッジなものが出ていたので、徒手空拳ですげえなと思う事しかできなかった。ひょっとすると性癖にぷすりと来るかもしれないので、忘れないようにしておく。ジャンルの幅は狭いのだが広いので、本当にすげえ。マックの濃厚チーズバーガーを食べていなかったので食べた。トリプルチーズバーガーは3倍チーズバーガーという質量による満足感はあったが、濃厚チーズバーガーは確かにチーズ感がストロングであり、チーズ食ってんなという自覚が濃厚に呼び覚まされる。一緒にスパイシーチキンナゲットを食べたものの、本体が赤い割にそこまで辛くなかったし、ソースの味が安いキムチの漬け汁のそれだった。

軽微に重篤

起床時間・就寝時間・睡眠時間・体内リズムの全てがちぐはぐになっているので、寝ると疲れるし起きると疲れている。深夜2時くらいの、塊で滑り落ちるような水音に胸を不安で曇らせながら寝て、9時に起きると窓の外が陽光で満ち溢れているのが見えた。窓に洗濯物をかけていて、布越しにこぼれていたが、これは間違いなく快晴だなと察知できた。家のある地域では、見上げても雲ひとつなく、抜けるようなというか抜けた後みたいな青がムラなく広がっていて、暑くなりそうだぜと思われたが、湿度が伴わなかったので、全体的に暑いがそこまで不快ではない性質の気候で、屋内に空調なしでいる分には申し分なく適切な夏の天気だった。しばらくこうなればいいけれど。梅雨が顕現する時とそうでない時の対照が激しすぎるので、身体がというか体外の事象を把握する精神が支障をきたしそうな気がする。眠い。呼ばれたので行ったが、別に行かなくてもよかったが、行かなければ行かなかったで現場はどうなることかどうなったことか不安でちくちくと苛まれただろう未来が見えたから行ったが、行ったところで何か得るものがあったかと言われるとこれまた渋い顔になってしまうから、そもそもイベントが生起しなければよかったのになあと思わないでもないが、モイライやらの紡ぐ糸は完全にこちらの手中にないので、もー無理! もー諦めた! やってやれねえことなんてやってらんねえ! の姿勢で、目の前に迫り来るあれこれを後先考えずにバッサバッサ斬り伏せていくスタイルでしばらく生きていこうかなと思うに至った。いつか帰ってこないといけないが、それにはまだ足りないパーツが多過ぎる。久しく、頭の中でいくつかの体系が組み合いながら有機的に動く感覚を経験できていないから、頭の中に絶えずガラクタを放り込む作業が、その労力が、時間が、だんだんもったいないものに思えてきてしまって精神衛生上よろしくない。超絶変形ロボットみたいな駆動をしなくていいので、ハウルの動く城的挙動ですでに十分めちゃくそ嬉しいから、不調の油と黒煙を振り撒きながら、螺子を失いつつ動いて、その地響きで脳味噌を揺さぶって不意の落し物を誘発してほしいものだが、部品を集めるだけじゃなくてエンジニア的働きかけも必要だよなあと思うと、足りない作業と必要な作業量が増えるワカメよりも爆速でもりもりもにょもにょとその質量を増していくから、やっぱり後ろに倒れ込んで頭でも打とうかなと思う。

強情は存在するが弱情は存在しない

部屋から虫がいなくなったと思ったら、どこからともなくでっかい蠅が入り込み、居座っていた。でかいので、飛び回るとその質量が空気を切る音で気付くし、まさに黒点が飛び回っているかのような図体である。さきほど真横の壁にぴたりと止まったので観察すると、あまりにも蠅だったので、気分を害される前にこちらから視線を外しておいた。蠅はぶんぶん飛び回って集中力を乱してくる系虫の中でも相当にガタイがいいので、逆にこちらが負けそうな、そうでなくても苦戦してしまいそうなストレングスを感じる。私の思想に、マッチョなところが欠片もないからかもしれないが。蠅男、蠅王、とかのせいかもしれないな。昨日買った服は、とにかく三分丈パーカーの方は死ぬほど可愛いので納得ずくでの購入なのであるが、同じフロアで買い物をしていた男性の立ち居振る舞いというか、存在の仕方全般が「こんな人間が本当に世の中に存在するのか……っ!!!」と思わせる性格を持っていたので、この服を着ようとするたびにあいつの事を思い出すオマケもついてきてしまい、全然嬉しくない。応対してくれた女性店員に、ロング丈や変わった裁ち落としのシャツが置いてあるところでは「俺にどれが似合うと思う?」「やっぱそれ? 俺黄色好きなんだよね、俺の事分かってんじゃん、気が合うね付き合わない?」と言い放ち、試着室では「これどう? 似合う?」『すごい似合いますね〜』「でしょ? 俺こういうの好きなんよ。ほんとは俺の事好きなんでしょ? ね? ね?」との絡みを披露し、おそらく私が聞き逃しただけでも掃いて捨ててなお余りあるほどそういう感じのアレをアレしていたはずなので、これはある意味カルチャーショックというか、人間の性格が至りうる分布図の最大値を更新された心持ちがするというか、あの店員には気の毒でかける言葉もないけれども、私が珍獣を見る事ができたという点では非常に実りある邂逅だった。客の態度としてはもう何も言えないが。図太い、とかではない。私の中に、あれを形容する言葉の持ち合わせがない。誰かくれ。服を買う場所は分かったが、傘を買う場所が分からない。地元のスーパー以上しょぼいデパート未満みたいな店舗に行けば、生活用品フロア(なぜか大体2階にある)に傘コーナーがあって、そこでひどすぎないデザインの、中庸平凡実用性大事を絵に描いたようなアイテムが買えるのに。傘専門店に行きたいわけではない。ただ、折り畳みではないでかい傘が欲しいだけなのに。

2000円もらうので5000円ください

明太子を2本くらいご飯に乗せて食べると、自分がたちまちお金持ちになったかのような錯覚を覚えられる感覚の持ち主なので、スーパーで6、7本入り300円台半ばとかだと買って帰って、朝ご飯にぽいと乗せる事にしている。さすがに金の延べ棒だとは言わないが、銅の延べ棒くらいには思っているので、俺はこんな贅沢な事をしていていいのだろうか……という不安に襲われる事になる。昔は一本くらいがちょろりと乗っていただけだったので、皮を破って中身を展開し、懸命に明太子の味を長時間に渡って得ようとしたものである。皮は最後に食べる。なぜなら、食感が中の粒と違うし、なんとなく皮が一番いい部位のような気がするからだ。それほど美味しいかと言われると、別に特段そこまで美味しくはないのだが、日常から欠落しているテイストではあるわけで、非日常を味わえるという意味では、たまに明太子を食べる意義はあるだろう。諸事情により、色々あって二転三転くらいした末に、必要になるのではないかと思われる事態に巻き込まれる運びに運ばれる予定ができたので、ちゃんとした専門店に足を運んでタピオカの入ったドリンクを飲んだ。店の名前しか知らなかったので、知っていそうな人に話を聞いて、HPを読み込んで、おすすめのメニューを聞いてから足を運ぶ慎重極まりないアクションをかました。こちらから足を踏み出さなければ、発生するイベントも発生しないという当たり前の事実に最近開眼したので、できるだけ一回で針に糸を通して、意気阻喪しないようにとの気配りである。ハート・オブ・グラスなので。すげえ並んでるよと教えられたので、そうかすげえ並んでるのかと思ってGong chaのテナントに行くと、確かにすげえ並んでいた。待機列が3回折り返していた。すげえ並んでるな。年頃の女子が大半と圧倒的多数を閉めていたが、年齢層問わず男性もいる。知らなかった。私のように、社会勉強に踏み出す生まれたての仔鹿EXPではなく、常習的に飲みつけている気配が濃厚に窺われた。結局30分くらい並んだが、仔細割愛し核だけ残すと、すげえうまかった。そりゃあ500円以上するよ。カネは嘘をつかない。ウーロンミルクティー(タピオカ入)を飲みながら、うめえうめえと心の中で呟いていた。氷が溶けると途端に味が薄くなって美味しくないので、勝負は一瞬で決めるべきである。ついでに服も買った。自分の金で、自発的に服を買ったのはもしかして初めてなのでは……? 三分丈袖くらいのパーカーがあり、可愛すぎたので買った。これで一年中パーカーが着られる。

のっがぴきぴきならない状態

外に出ると絶対通らなければいけない交差点に、当たり前ながら交通標識が突き立っていて、信号が変わるのを待ちながらぼんやり視線をやっていたら、標識とその傍に立つ棒を繫ぎ止める金具みたいなものがあって、そこに「半分に割れた茹で卵(黄身はない)」が上手くハマるように安置されていた。そこに黄身がパコッとハマっていたのであろうくぼみがこちらを向いて、こんにちはこんにちはと語りかけてきているかのようだった。放置されてからまだ日は経っていないはずなのに、はや白身の部分が変色を始めていて、青白く発光しているのではないかと思える微妙な色になっていた。腐った卵というのは古今東西例外なくものすごい悪臭を振り撒いて止む事なしなので、茹でると腐るのは遅くなるのだろうが、気分を害さずに気分を害してくるとは大した度胸である。ずっと見ていると精神に不調をきたしそうだったので、ついと視線を切って横断歩道を渡った。これが昨日か2日前かの事であり、今日そこを通過した時にはなかったような気がするから、誰か或いは何かがあの物体をリムーヴしたのだろう。かっさらってきたハンガーで近くに巣を構えているのを目撃した事のあるカラスか、付近の建設事務所前で鬼のように糞をぶちまけながら地面を突っついているハトの大群か、ともかく世界の摂理に空いたクレバスに呑み込まれていったようである。果たして、あの片割れの相棒は、どのような結末を迎えたのであろうか。正解は、CMの後でも分からない。昨日、もらったけどいらないからあげるねと人から譲り受けた、サントリーの烏龍茶があった。ヤカンで沸かしたお茶ばかり飲んでいると、その味気なさと飾らなさにどうしても飽きが来るので、いくら外出先で水分に金を払うのは勿体無いと思っていても精神衛生上ときたまそういうものに手を出すのだが、この烏龍茶は他メーカーと同じ価格帯に位置するであろう見た目とパッケージをしていたにもかかわらず、釣り針についたカエシみたいな妙な酸っぱさと、チープな舌触りが最悪であり、お世辞にも美味しくなかった。お世辞を言おうという気が起こらない程度には美味しくなかった。飲み終わって、帰路の自動販売機密集ゾーンにあるゴミ箱で捨てさせてもらおうと、キュッとキャップを閉めたのであるが、その瞬間、稲妻のような衝撃が身体を貫いた。こいつ、閉め終わりと閉められる限界値が一致している。バルブ栓のように、完全に閉まった後でもまだ力任せに捻る余裕がそこには残されておらず、閉め終わるとそれ以上スクリューを辿れなかったのだ。めっちゃくちゃすげえと思った。味はあれだが、容器は超高得点だった。好き。で、往路、駅のホームに降りる階段に向かおうとした瞬間に閃いた事を残して終わる。

鎖骨に沿って絆創膏貼ってあったら、めっちゃエロくない!!!???

季節外れのスノウホワイト

極めて難しい事に、人間は過ちを繰り返して学んでゆく生き物なので、つまづかないで巧みに歩き続ける人もいないではないが、基本的にトライアンドエラーを原則としているから、幾度か実際に間違って道を踏み外して怪我をして学習する事になる。かつて負った傷を思い出して、誤った方向に足を踏み出さないようになる。まだ一度しか間違った事がないような道は、だから、高確率で足を挫いてしまうし、もし無事に通れてもすぐ脇を通り過ぎた、あり得た可能性に背筋がぞっとする。長々と前置きを書いているのはできるだけ本題に触れたくないからで、でも一度傷に消毒液が染み込む痛みを我慢しなければ後々膿んで大変な事になるから、やっぱり残しておかないといけない。日中、帰りが遅くなりそうなので一旦家に帰る機会を設けた。帰りに少しだけ遠回りをして、スーパーで買い物をしてから家に戻った。買ってきたものを冷蔵庫に突っ込んでから、ゴミ箱がもういっぱいだった事を思い出し、くくって玄関に置いておこうと思った。ゴミ箱から重くなったビニル袋をずるりと引き出し、口を縛って玄関に放った。新しい袋をファーニッシュする前に、ゴミ箱の底の状態を確かめておこうとついと覗き込むと、小さな斑点がぶつぶつと散らばっているのが見えた。本能的にそれが何なのか察知し、ぐいと顔を近づけると、違わず当に、イグザクトリィ蛆虫の乾燥した死骸がゴロゴロと転がっていた。数年前の記憶がぞわぞわとフラッシュバックする。ゴミ箱の周りの床に目を凝らすと、近眼が極まっているので床はただの茶色に見える、一面に広がる点々が見えた。確定である。間違いない。やっちまった。数年越しに、大量の蛆虫を発生させた瞬間だった。小さな小さなマイクロサイズの楕円形に干からびた、命なき害悪の残骸がそこかしこにみっしりと横たわっていた。命ない故に、身動きもせず居座り続けているが故に、身体の芯がむずむずするような、本能的に耐えられない気持ち悪さがとろみを帯びた冷水のように押し寄せた。ここからは心を殺さなければならない。まず、掃除機をかけようとした。前回、これは悪手だと理解していたはずなのだが、目の前の光景に全てを奪い取られていた。ある程度を処理してから、キッチンペーパーを濡らして少しずつ残骸を拭い取る。力を入れると、表皮が破れて体液が溢れるから、力を入れないよう慎重に。埃も巻き込んで一面を整理してから、ティッシュペーパーに水気を含ませ最後の仕上げにかかる。どうにかなった。どうにかなったが、どうにかしなければいけなくなった時点で私の負けなのだ。今日は完敗だった。どうにか原状復帰したものの、床に這っていた鼻水色の蛆をつまみ取った今日という日を、絶対に忘れない。

遺体の焼き増し

降り続くのかと思ったら降らなかった。突つけば降るかもしれない、ハラハラドキドキな空模様が一瞬見える事もあったが、天まで届く物干し竿や月を取るためのハシゴなんて持っていなかったから、どうしようもなかった。空気は相変わらず湿ったままで、気温もひょっとすると身を震わせるような寒さだが、しとどに打つ水音は聞こえてこないのだった。目が覚めるとゲロ吐きそうなくらい頭が重かったので、しばらくもにょもにょして起きるのを愚図って先延ばしにしていたら、一時間くらい意識が落ちていた。間に合ったのでよかったが、よれよれに浸みた資源ゴミで頭をひっぱたかれているような気がしてだるい。低気圧とかのせいにしたいが、どの辺がどうなってこちらにバタフライな効果をもたらしてくるのか知らないので手段として訴えたくない。明日こそそろそろ買い出しに行かないと、全般的に台所周りがストップしてアレなので大変だ。帰りに行く。絶対行く。体調が完全に終わっていたりしない限りは行く。途中に人気の多いところや、場所として雰囲気が好きではない場所も少なからずあるが、背に腹は代えられないし背と腹を取り替えたら体重が後ろに持って行かれて後方にぶっ倒れるので行かざるを得ない。もっと積極的に気持ちよく行きたいものだが、行きたくないのだから仕方がない。完全栄養食みたいなもので生きていけばこんな煩わしさはないが、それはそれで生かされている感が滲み出てきているように思えて嫌になりそうなので、やっぱり引き受けなければならないが、できれば着払いでどこかに送りつけてしまいたい類の代物ではある。宛名がないので送り返されてくるだろうが……。ゴミ箱にさらなる質量を詰め込むべく、エイヤっとばかりに押し込むと、バッとコバエが逃げ出してくるようになったので、今年もコバエがホイホイを買ってきて近くに設置しコバエ対策をしないと、リアルバイオハザードを再発させてしまうような気がする。というか、そういう事が起きませんようにとフタ付きのゴミ箱を買ったくせに、いちいちの開閉が面倒になったから開けっ放しにしている自分自身の責任であって、もう、この、馬鹿野郎。提供が終了する前にさっさと行ってしまおうと思って、忘れないうちにマーラーナポリタンを食べてきた。辛いのは分かっていたが、ついでに山椒もかかっていた。そういう事なん? カラい、ウマい、シビれるとの三拍子がポスターに印刷されていたが、カラいとシビれるしかなかった。元のナポリタンの旨さが、上のマーラーな具でどこかに消えていた。悪くはないが、恒常ナポリタンの方が圧倒的に美味い。あってもなくてもいい蛇足だった。入っていた唐辛子を食べたら、きちんとそれも炒められていたのだろうか、香ばしくて美味かった。すぐに汗が止まらなくなって、鼻水もダダ漏れになって、あんな事別にしなくてもよかったじゃないと自責の念に苛まれた。

お菓子の家に住んでいたら、湿気たウェハースの壁に悩まされていただろうから本当によかった

起きた時から今まで、寒暖も隙もあったものではなく、雨樋や下水道がフル稼働でアホみたいに雨が降りまくっている。空から、パンパンにした水差しで絶えず注ぎ続けているのではないかと思えるほどであり、こういう日は確かに天然でシャワーを浴びられそうだなと思う。窓を閉めていたのに冷たさが這って染み込んでくるようであり、洗濯サイクルの都合上うっかり着てしまった長袖のシャツでも薄ら寒い。膝掛けとして、衣替えし忘れている半纏を乗っけていてもなお上半身がぞっとするくらいだから、数日前までの夏に向けたスタートダッシュは何だったのかと思えてくる。横槍を入れるのはやめなさい。コンスタントなノリで生きていこうとする身体がバカになっちゃうから……。やんなるくらい雨が降るので、スーパーに行って食べ物を買い足すのも億劫で兆劫であり、気温のせいで多少モノが痛みにくいのはまあいいとして、そういえば冷凍庫にストックしてある肉の種類がすっかり少なくなっているのだった。ハナマサに行きたいが、歩いていくには結構遠いので、気持ちよく晴れた14時から15時くらいにのんびり足を運びたいところであり、夜の薄明と何ら変わらない悪天候の中でわざわざ足元を濡らしてまで行くところではないし行きたくない。気に入っているナポリタンの店が、マーラーナポリタンみたいな、よさそうなメニューを出していたので、近々行きたいし早く行かないと季節限定メニューなので提供が終わる。昨日食べたトリプルチーズバーガーも体験としてはよかったが、次はチーズバーガーを3つ注文して家で組み合わせたらトリプルチーズバーガーになるのか、という実験をしたいと思っている。濃厚チーズバーガーという他のメニューもあった。あまりに良過ぎない、ある程度でクオリティが頭打ちになるフィールドはとてもありがたい。品質に対する感受性の閾値が、特定領域を除いてすこぶる低いので、予算一人一万五千円の回らない寿司屋に行くより(行った事ないが)千円でケンタッキーを何回か食べた方が総満足度が高い。余剰値が発生しなくて済むので、経済的だと思っているが、実のところどうかは分からない。最近、人と話していて久しぶりに、いやいつも頭の片隅に圧倒的存在感を放ちながら転がっているのだが、DMMで配給されていた圧倒的クオリティゲーム『キルドヤ』の事を思い出した。懐かしくなったので勢いで検索すると、有志で作ったwikiが出てきて、懐かしさに色んなものが止まらなかった。キルドヤ保存の会なる、非公認アーカイブがアップロードされている場所もあった。やっぱ、あれ面白かったよね。

いつかきっとこの光景を思い出して泣いてしまうとか言われると笑ってしまう

気温がいい感じに暖まってきて、そろそろ安定していい球(気温)を投げてくれそうだなと思った矢先にいきなり冷え込み始めてがっかりした。暑かったので窓をほんのり開けて寝ていたが、それだと肌寒さに身体を布団の中に滑り込ませてしまうほどの低下が見られ、ついでにめでたくも何ともなく、雨でQOLが下がる人間には大変残念至極な事に日本列島が梅雨入りしてしまったらしいので、向こうしばらくは栄華を振るう太陽の睨みつけるような光線は拝めそうにない。晴れれば暑いと言われ、雨が降れば寒いと言われ、ヨーロッパ諸語で天候を表す時に主語として立つitやilが可哀想に思えてくる。非人称主語なので血も涙もなく当たって構わないかもしれないが、一度そこに何かが立っていると考えると気が引けてしまうので、私はきっと根はいい人間なのだ優しい人間なのだそうかもしれないしそうじゃないかもしれない。結局、帰り道に中くらいの雨滴が降り始めたが、折り畳み傘をカバンの中から取り出して釦を外して広げる3ステップの動作が面倒極まりなかったので遮蔽物を用意しないまま帰宅した。全身からほんのり香り立つ程度に濡れただけだったので、無駄な手間をかけずに済んだ。机に向かって椅子に座って作業をしながら頭の中ではつまんねえ〜つまんねえ〜と思いながら継続するなる実に精神衛生上よろしくない時間を過ごしたが、作業をしなければ次の作業が滞りいつの間にか作業に首を絞められて天に召されるので、死ぬか死んだような心地で片付けるかの二択でどちらか片方だけを選び続けなければいけない。まだ、熱々のおでんダネ、大根と卵どちらを食べさせられるかを選んでいる方が生きている心地がするような気がする。痛いというのは、生きている事の証左だからな。昨日は道端に完全にブレイクしたわけではなさそうなビニール傘が遺棄されていたが、全体的にだらしなくかっこ悪くくたれていたので、捨てられたというよりは、もういいやと放り出されたと言った方が正確そうな感じを纏っていた。かわいそ。帰りはマクドナルドに寄って、トリプルチーズバーガーを単品で買って帰った。メニュー表にも、セットの値段がでかでかと書かれていて、単品の値段は数ポイント落としてちろりと書いてあるだけなのだが、最近やっと単品で注文しても胸が苦しくなくなった。ポテトが食べたい日と、ハンバーガーが食べたい日は別なのだ。ベーコンポテトがメニュー表から消えていた。割と好きだったのに。

夢見が悪いなら寝なければいい

いつの間にか癖になって、そしていつの間にか忘れていく言動や行動があるのだが、癖になって少しだけ経ってから、「もしやこれは最近観た/読んだ/聴いたアレが遠い遠い影響を及ぼした末にこうなっているのでは……?」と自覚できる事がままある。よくある。めっちゃある。隔月周期くらいで自覚している。根っこというか、トイレットペーパーの芯みたいなところはそうそう変わらないし変われないのだが、その芯に巻きつけてあるところはぐるぐる目まぐるしく結構変わっている。最近、また口癖が上書き更新された。「おぁぁーーっ」と「ば か や ろ う」なのだが、字面で精一杯伝えようとはしてみたものの、やはり肉声を正確に文字で写し取る事など出来ないので、想像力で補ってほしい。発語の9割は独り言なので、自分で傍から聞いていて変なやつやなあと思っている。重い腰と床の間に間髪が見えたので鬼の首を取らんとばかりに購入した仏和辞典をまともに使い始めた。どうせ必要になりそうだし、なる事が目に見えていたのを見ないふりしていただけなので来るべくして来る事をやっと渋々受け入れる準備が出来たという事なのだろうが、これも辞典を買おうという気が起こるに至り、そしてあまつさえそれを活用しようなどという気を起こしたのは、数日前にポプテピピックを観返して、フランス人アニメーターが手掛けたコーナーがあったからではないかと思い至る。なんとか会話を聞き取ろうとしても、"Et vous?"や"Voice."くらいしか分からなかったので、くそう悔しいなと思ったからではないか。主要動詞の活用や半過去形の活用などまだ完璧には程遠い記憶であるが、まあなんとなく辞書を引いて意味が分かれば文法的に構造っぽいものを把握できるので、そして音読していればそれとなく面白くなってきたので、リーダーが初級〜中級者向のものとはいえ、向こうしばらくちまちま頑張っていければいいなあと他人事のように願っている。外国語習得に関する、なかなか考えさせられる言説に触れたところでもあるし。だが、しかし、よくフランス語で男性に「ムッシュー」と呼びかけるところのそれが、monsieurと綴られるのだけは、さっき辞書を引いて発音記号を確認して納得できなかったのでGoogleで検索して音声を再生して耳で聞き取り事実確認を済ませた今でも全然納得できていない。字面から考えると「もんしうーる」かと思ったのに。耳でムッシューを体験しても、頭が納得しない。こういう時、歴史をほじくり返さなければいけないのだ。

風邪を引かなければセーフ

家を出る時に、空気が重たく湿ってるわ空が寒天みたいな様子だわ、絶対ぜぇーったい間も無くただちに雨降りよるわコイツはぁ〜あ、とまでは思ったが、まだ降っていなかったので傘を持たずに出かけた。傘を持って出かけるという事は、外にいる間常に片手が塞がり動作を妨げられるという事であり、両手を常に自由にしいかなる要請にも応えうるような状態に身を置きたいと思う身にとっては大いなる妨げとなる。胸の内で天候への完全勝利を高らかに宣言し、駅に向かって歩き出すと、ものの2分もしないうちに水滴がぽつぽつと存在感を表し始めた。掛け値なく、正直言って「あ、やっちまったな」とは思った。これから向こう一週間、天気予報のお天気マーカーがひたすら傘で埋め尽くされている事は知っている。そこで徒手空拳で挑んでいく馬鹿野郎。ひっきりなしに雨びしょの国で、多少の雨は雨ではないという真理を学んだ私にとっては、多少の雨は無視できるものである。曇りという天候の誤差の範囲内として捉えられる。ふっ、勝ったなと一人芝居に満足し、目的地に着くと、見なくても分かるし見ると一層分かるようなひどい降り方にシフトしていて、ギリギリ間に合った。通行人が傘を差している中を、何も頭上に掲げず歩こうとすると、何度も思う事だけれどめちゃくちゃに危険である。傘を差している人間同士は傘の半径で距離をとるから凶刃が及び被害が出るような事はないのだが、傘人間と無人間が対峙した時、戦場で丸腰なのと武装したのが邂逅したような危機感が背筋あたりを貫いていく。目に刺さりそうだし、そうでなくても縁が当たりそうだ。当たり判定からすでにこちらの負けが決定している。夕方に見られたひとときの間断を縫って家路に着いたが、店に寄ってご飯を食べて外に出ると少しだけ再開していて、歩き出して1分もしないうちに、実感できるくらいたちまち一粒一粒が着々と重さを増していき、結局傘を必要とするまでに降り始めた。まだ負けではないと負け惜しみを言いながら、目の上にハンドタオルを捧げて、明瞭な視覚確保のためである、しっとしとになって帰宅した。店に寄らなければこうはならなかったが、どうしても行きたい欲がむくむくと立ち上り無視できない質量になっていたから仕方なかったのだ。最近、勢いを失わないうちにと買ったフランス語の中辞典が机の上に増えたので、それに伴って机の上に展開されるモノの量も増え、段々収集がつかなくなってきた。

モード選択をする前にハードの電源が落ちる

人生って引き算じゃなくて足し算なんだな〜。自分から足していかないと中身カッスカスのスッカスカのまんまなんだな〜。テトリスとかぷよぷよみたいに、上から勝手に内容物が落ちてきて、埃が溜まって、自動的に満たされていくのとは違うんだな〜。テトリスとかぷよぷよみたいじゃないくせに、テトリスとかぷよぷよみたいに、先々の事まで考えて組み合わせて計画的に処理していかないといけないんだよな〜。パズルゲームみたいな後先考えまくるもの苦手なんだよな〜。「1+1」を入力してただひたすら「=」を押して総和に1を足し続ける作業なら得意なのにな〜。色んなギミックに負けてる場合じゃないんだよな〜。あ〜。以上のような事に、帰宅して椅子にどっかと座り込んでから突然気が付いてしまい、生きていく自信が1目盛りから1目盛り(点滅)まで下がった。将棋とかオセロとか、都度毎に頭の中で次々プロセスを生成して場合分けして選りすぐる作業が死ぬほど苦手である。でっかいマスで制限時間を与えられて、目標はこんな感じです(ジャジャン!)と与えられるタイプのタスクなら、自分のペースとキャパシティが分かっているから制限時間内にどうにか形を与える事ができるが、細切れでいちいち対処してくれタイプは苦手というか嫌というか、全く面白くないのでやりたくない。でも、苦手な方のルールで動くコンベアに乗っているらしい事に気が付いてしまった。あ〜。やだな〜。あと一ヶ月くらいは、内部的にぐだぐだ言うと思う。やだな〜やだなやだなやだな〜という気持ちが暗雲のごとく胸中に垂れ込めて晩御飯を作るのさえ億劫に感じたが、ご飯を食べて三大欲求のうち一つが満たされると、どうでもよくなってひたすらに眠くなった。別にお腹が空いていたわけでもないし、なんなら晩御飯を抜いてもよかったくらいだが、それでも、腹をくちくすると生物として張っておかなければいけない緊張の糸みたいなものがだらしなく弛緩するのを感じたし、ぴんっと緊張している状態がいかに疲れるかも楽になって遡及的に分かる。しかし、だるだるの綱を渡っていると渡らなければならない総距離が伸びるし、途中で景色に飽きて引き返したり綱の両脇に身を投げたりする可能性が増す。きりきりに引き絞って一息に駆け抜けられればよいのだが、歩くのでさえ呼吸を苦しく思う姿勢の悪さや根っこにねばりついた明るくなさがべちょべちょと身体を浸してすがりついて、だんだん眠くなってどうでもよくなり考えるのをやめると明日の朝が来ていて、一行目の振り出しに戻る。

これで空を飛び太陽に侵犯できるかというと

買ってきたまま消費期限を4日くらい過ぎたものの、密封されてるから多少は大丈夫やろと舐めくさして周回遅れで冷凍庫にぶちこんだ豚ヒレブロックの処理をした。時候柄というか何というか、それなりに筋肉質な人の腕くらい長さと太さはあったが、一晩冷蔵庫に安置しておくだけでぺにょぺにょに解凍できていた。真空処理された袋に包丁を突き立て、溢れたドリップを排出する道筋を作る。肉塊を傾けたり袋をしごいたりしていると、どう捉えればいいのか分からない、正体不明の感情に囚われる。袋をかっ捌いて中身をずるりとまな板の上に引き出すと、すらっと細長いヒレブロックが抱き合う形で2つ入っているのだと判明した。道理でムキムキに太かったわけである。すっかり解凍されているにしても、まるで豆腐を切るかのように、さすがに豆腐を切るかのように夕餉の風景のBGMを奏でられるわけではないが、ほぼストレスなく刃が進む。何かの膜や筋にかち合うと、多少力技で突破しなければならなかったけれども、切る段階では史上トップ10に入るくらい、切るに容易い肉だった。冷凍のために切り分ける処理が終わると、シンクが濃いピンクの肉汁でべたべたに汚れていた。だらしがないなあ、と思いながら、スポンジの裏面に洗剤をつけて、さすがに生肉の汁を放っておくと食中毒か何か細菌感染とかディスアドバンテージになりそうだから、科学の力で葬り去った。下水に流れて行ったあの豚の血は、処理場を経ていつか、シャワーの水やら何やらになってこの頭の上に降り注ぐのかもしれない。切るのは柔らかくてダメになりそうなくらいだったくせに、焼くと結構硬くなった。ヒレなので鶏胸肉やささみみたく脂分が控えめ、もっと言えばゼロに近く、パサパサとして歯応えと、確かに肉を食べているという実感を顎の疲れとしてもたらしてくれた。死んだ顔色、紙のような白だった。どんな炒め物にも入れておけば味が決まるので、山椒辣油は優秀である。目覚ましが鳴り出すよりもちょっと早めに目が覚めて、頭を後ろに引く気怠い重力に従いながら窓の白みをぼんやりと見ていたような記憶がうっすらとあって、次の記憶に接続されると、またぞろギリギリ間に合うか間に合わないか絶妙なdead heatレースを繰り広げるような時間に意識が再起動した。大体朝はこんな感じのリズムとノリと勢いで生活しているが、朝に余裕があったところで何か生産的な事をしそうにも思えないので、無駄を睡眠という別の無駄カテゴリにずらしているだけと考えれば、悪くはない。効率だけを追い求めると疲れるので。

応答しなくていいから呼吸音だけでも

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生半可に分かるから距離が詰まらない

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