他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

急所のカビ

一日中頭がぼんやりしていた。脳味噌丸ごと紐を引っ掛けて上の方に引っ張られているような。夢だと言われても違和感がなかった。いつもリアリティを持って生きているわけでは全くないので、普段から夢見たいなものだ。リアリティを感じるのは、ルーチンからはみ出た異常事態に触れた時である。鳩の死骸が綺麗に転がっている時とか、埃・蛆コンプレックスが形成されている時とか。轢かれそうになったら、頭上に半分以上抜け出ているような魂もびっくりして降りてくるかもしれないが、近年は轢かれそうになった事はない。間食にバナナを食べた。バナナはちょうどいい。障りがない。何か食った感じがあるし、適度に味がある。韓国産のマンゴーみたいなものを売っていたが、自分の経験則外にある食べ物は、そもそもどうすればいいか分からないので買ってくる事が難しい。記憶の限りでは、カットされていない、あのずんずん生えてとげとげしたパイナップル、パーフェクトスタイルを買ってきた事は一度しかないはずである。あのてっぺんに生えている、サンバのカーニバル衣装みたいな葉っぱみたいなやつ、あれが捨てる時にめちゃくちゃ邪魔だろうというのは容易に想像がつく。あんなに先端突起が多くては、ゴミ袋に入れた瞬間から裂傷が広がり、衛生の悪化を招くに違いない。画鋲を敷き詰めたテクスチャみたいな外皮もまた然り。手荒れがひどい時にさばくと、おそらく染みに染みて悶絶するはずだ。しばらくパイナップルなんて食べていないが、しかし自分で手を下さずして食べるパイナップルは結構美味い。南国に旅行した事はないしこれからも行きそうにないが、海辺のバカンス、アンダービーチパラソルのそばに必ずと言っていいほどあるテーブルの上にあるフルーツ盛り合わせのメンツに永久就職が決まっているようなものだ。一度、ああいうベタをやってみたい気がする。パイナップルの芯って、食べられないんだっけ。かぼちゃのタネは、ナッツ系のおつまみになりもするが。ただ、硬くてダメなのか。酒類の棚の前で、チョーヤの梅酒瓶、かなり細長くて緑色のやつ、を見かけて、買おうかどうか迷ったがやめた。娯楽・嗜好品に対して免疫が低いのは自覚している。できるだけ、これ以上生活の自覚程度を下げるのは避けようと思った。たぶん、真水に墨でも垂らすように響くだろう。寝られないので、頭の鈍麻をどうすればいいのかぐるぐる考えていたが、何も結論は出なかった。

of no persuasion

晴れだった。むっくりと包み込んできて、薄く汗が浮かぶような、粘性のある暑さ。空調をつけなくても過ごせるが、意識の端々にちらちらと暑さが現れてこちらを覗き込んでくるので、エアコンを稼働させたのは正解だったと思う。かと言って、生産的な日だったとはとても言えないのだが。家から歩いて10秒くらいのところにある、飲食店というにはあまりにこぢんまりしていて、そのくせ扱っている食材が高級そうだった店が閉店だか移転だかで工事をしていて、目と鼻の先そのものみたいな距離にあるのでその音が直に響いてくる。ドリル的なもので壁だか床だかをごりごりする音だとか、何かを破壊するような落下音だとか。暑いので窓を開けると、聴覚的に暑苦しい環境音がダイレクトにダイブしてくる。早く終わって欲しい。店頭に何か張り紙がしてあったが、家庭用プリンタで印刷したような目荒の紙がテープで適当に止めてあるだけで、しかも連日の風雨でほとんど剥がれてしまっており、字のポイントも小さいので何が書いてあるのかさっぱりだった。こういう場面で書かれそうな文言というと、ご愛顧いただきましてありがとうございました、解体工事でしばらくうるさいと思いますがご容赦ください、の2点あたりだろうか。引っ越した時から絶対行かないだろうなと思い続けてきたが、本当に全く行かなかった。店の中で暇そうにしている店主を見た事はある。立地もわけわかめなので、実際どれくらい客が入っていたのやら。よくわからん事を考えていたら時間が経っていた。バナナを買った。どれくらいぶりだ。夏の気温室温だとすぐさま黒くなってぐずぐずになって香ばしくなるから、これからバナナに対して優しくない季節になろうという時にバナナを買ってきてしまった。ただ、間食としてはバナナはちょうどいい。ヨーグルトだとその姿が薄く軽すぎる。カップ麺なんて食べてしまうと食のリズムが崩れる。適度に固形で、適度に腹が溜まる食べ物としては、バナナは一種の到達点なのである。仲のいいあいつが、かつてバナナの研究者になろうとか言っていたのを思い出した。今は全く別の人生にいるが、バナナが好きだったし好きらしい。ゴキブリにしろマンボウにしろ、ホンマでっかTVに凝縮されているように、どんなにニッチなものにも「専門家」はいる世の中だ。この専門家のスペクトルが広いのが問題だが、まあ。夕飯にエビを食べた。火を通す前のエビはぷりぷりして透き通って美味しそうなのに、火が通った後の頬紅みたいな橙色に作り物みたいな紛を感じる。

にょきにょきぽよよん

昼前に起きた。ゲームにある、「虚脱」というデバフがあるのならば、頭の上に常にそのデバフアイコンが表示されている事だろうと思う。虚ろにして、魂が脱けたもの。中身がなくて、ふわふわしているもの。好きな漢字二文字ベスト10には間違いなく入ってくる。これが1位だな、と思う回答を自分で持っていたはずなのだが、それが何だったか忘れてしまった。全く思い出せない。何だったっけ。他には劣情とかが好きだ。なかなか、劣っている感情と言い表す機会はないだろう。とりあえず、状態を記述するならば虚脱以上の言葉はないな、とアクアリウムみたいにぷかぷかする頭で考えた。世の中にはハーバリウムというものもあるらしい。瓶に水と草を入れて観賞用に密封したものが。中の水がどれくらいで腐って、入れ替えなければ行けないのか、中の草も一緒に腐ってそもそもダメになるのか知らないが、永年飾っておけるようなものではなさそうである。水は腐るのだ。冷蔵庫最下段にどういうわけか溜まった水が、掃除するのもめんどくさいので放置し続けていたら、なんとなく臭いを発するようになっていた。水は、最初は透明で映るものがないが、だんだんと色がついて、黄色というか褐色というか、陽の光を取り込み損ねた変異体みたいな歪な色になるのだ。ほとんど冷蔵庫はからっぽだったが、庫内に臭いがつくと嫌なので、しぶしぶ重い腰を上げてタオルで拭き取る事にした。天日でよく乾いたタオルならばぐいぐい吸水するものだ。吸水したそばから、水についた薄い黄色がじわじわ広がっていくのは見ていて気持ちのいいものではなかった。絞っては洗い拭いを何度か繰り返すと汚水は消えた。少し床に溢れた分を拭くと、冷蔵庫の下に敷いた排気ヤケで床の変色を防ぐマットの表面の埃とカビがごっそり取れて、一瞬で黒緑になった。洗濯機の中で、先に洗剤を染み込ませておいた。全部綺麗に落ちるだろうか。マックに寄って、ベーコンが3枚入っているオーストラリアのやつを食べた。スモークベーコンを食べると、イギリスにいた時の朝飯を思い出して懐かしくなる。一番下に塗ってあったソースが独特な味で、あれは結構美味しかった。カナダのやつも美味いのだろうか。スーパーの入り口で、カップルか夫婦かが店に入っていくのを見た。男は何もせず、「店に入る」という行為だけを実行するのだが、女の方はカゴを持って入っていく。前も似たような光景を見た気がする。

フレンチキャバ嬢

情報を得る時は、複数の情報源を確保した上で、あるものは薄眼半目で、あるものは耳の穴かっぽじってよく読み込む分別が必要だなと思い直す事があった。一番いいのは、この人ならば致命的な誤謬はないと思える人間が手近に一人いる事だ。とりあえず何かあったらそこに駆け込んで、おおよそを判別してから他のところに当たりに行けばいい。そこまで練達した人に巡り合えるかどうかは運になるので、たまたま目に入ってピンときたら、メモなりなんなりで控えておく。メモした事さえ忘れなければいい。昨日の夜から降り始めて、ほぼ一日中雨が降っていた。7月が始まった時点では、上旬にはこのお天気シークエンスも終わるだろうと思っていたのに、予想に反して梅雨前線がどっかりと腰を下ろして屁をこき続けている。屁をこく、のこくに当たる感じは「扱く」だと思うが、これだとオナラが肛門からいかにして外界に放出されているのかを具体的にイメージさせられるので、考えない方がよかったなと思った。今日はちょっと書いて消して、が多い。うさくんの日記は、書き終わった部分がまるまる消された事を報告される。頭の中で乳成分が固まるのに時間を要する日なのだろうか。確かに一日、ほとんど何も考えていなかったが。雨が降ると、布団で寝る時に寒い。夏なんだから冗談だろと思うのだが、窓を開けていると夕方くらい、下手すると真昼間でも寒い。半袖だと少々心もとないくらいには。さっさと洗濯して片付けてしまわなかった半纏が役に立っている。さすがに掛け布団をかぶると暑いので、タオルケットを肩まで首まで、くるまるようにして縋っている。冷感生地の方だとひんやりするのでタオル生地の方が身体に当たるようにして。それくらいでちょうどいい。暑すぎず寒すぎず、少しあったかいくらいが眠りやすい。寝返りをめちゃくちゃ打つので、その度に外気が入ってくる。眠りに入るまで、冷蔵庫の低い駆動音とか、食料棚から聞こえる物音にもしかしてGのヤツではないかと怯えたりしながら、難しい事を考えようとして、議論というのは難しいなとの結論に何回も至りながら、結局同じ筋道をぐるぐるしている。最初から見ている方向が違えば、前準備なしに衝突すれば和やかに事が進まないのに、そこを前提に、ものぐさのんびりと相手を眺める猶予を設けていない場面が多いなと思うのだ。起こらなくてもいい争いなら、起きない方がいいと思うのだけど。闘争ではなく競争の方を。

DEDEDE

食パンのダブルソフトはユニバーサルデザインフードらしい。ユニバーサルデザインというのは、階段ではなくてスロープにしたり、標識を文字ではなくピクトグラムで表現したり、手の力が弱くても握りやすいようなカトラリーであったり、人生で見聞きした事のあるユニバーサルデザインというのはそのようなものだったのだが、いまやそれが食品にまで及んでいるとは知らなかった。認可を出しているのが日本介護協会なので、そこがユニバーサルデザインというユニバーサルな言葉で太鼓判を捺していいものかどうか気になるところではあるが、そちらの観点から判断するとユニバーサルなフードなのだという。これはなかなか目から鱗というか、パンくずというか。ついでに、トーストするとユニバーサルデザインフードではなくなるというオチまでついている(マークのそばに注記がある)。トーストするとカリカリになって口の中に刺さったりするからね。危ないもんね。噛みづらいし。アイディアというか理念というか、応用とはこういう事なのだなあと思った。天気が悪くて日がなびちゃびちゃしていた。家の近くにある、そこだけ滴下音が大きいスポットを排除したい。どこなんだ。金曜日である。息を潜めて穴蔵に引っ込んでいても、事態は一向に収まる気配を見せない。増加というよりは、析出のあれこれが変わったのだろうが、向こう2年はまだこんな感じで生活する事になるだろうとの見通しには渋々ながら同意せざるをえない。完全に人の移動をゼロにするなんて無理な話だし、私も外に飯食いに行く事はあるし。各種デリバリーサービスがこの機会に存在感を増しているが、20分徒歩圏内にある店なら自分で歩いて行く、配送料とか手数料とかもったいねえと思うので使わない。知り合いの妹が、ウーバーの初回特典で1000円分のクーポンもらったのでタピオカドリンクを注文したら、タピドリ本体よりも配送料の方が高くて会計1000円だったという話を聞いて、そこを歩いて節約できるなら歩くのを選ぶ。リスクはどうなんでしょうね。一人がぐるぐる色んなところを訪れて複数人分の外出を減らすのと、一人が定性的に直線的に店に行くのと。デリバリーサービスは今生使わないと思うけれど、たまに流れる出前館の歌だけは覚えてしまった。YouTubeの広告くらいしか、絵面+音という形の映像でCMに触れなくなってしまったが、あのメロディは耳につく。「でっ」の主張が強い。でっでっでっ。

ずんがずんが

玄関廊下に溜まっていたペットボトル、全部捨てた。10本くらいあったか、もう少し少なかったか、ともかく、邪魔なので全部捨てた。うっかり蹴飛ばすと軽妙な音がカランコロン鳴っていたので悪くはなかったが、冷蔵庫横の牛乳パックを切開するたびに感じる、「通路になんかあると邪魔で部屋が狭く感じるし知覚できないレベルでストレスが蓄積している」の原則に従って、限界を迎えたので捨てた。何かの工事の折、玄関上がってすぐに床下への扉が開通したので、そこにこっそり捨ててもよかったが、いい事が何もないのでそれはしなかった。あの扉、本当に、家の基礎工事部分が見えるだけで、全くメリットがない。床下浸水が起きた時に、東南アジアの海上家屋みたいな気分に浸れる可能性がないではない、程度のものだ。家って、こんな殺風景なもんの上に建ってるんだな、と思う事はできる。だからと言ってメリットはない。暇な時は、ほとんど銀魂のアニメを観ている。なんでこんなに面白いんだろう。分からん。基本構成が一話完結型で、物語世界が進行する事がほとんどないのがいいのかもしれない。私が好きな作品は、だいたい一話完結型で大きなうねりはない。小さなうねりがみゅいんみゅいんと続いて、たまに海上に顔を出してこんにちは、いい天気っすね、くらいの話をしてまた水中に帰っていくような、それくらいがちょうどいい。今、4年目? くらいの、206話だった。どこまで残ってるんだろう。銀魂っていつ終わったんだっけ。終わったんだっけ? 居心地がいいので、もうしばらくはストックが残っていてくれると嬉しい。何も考えずに逃げ込める場所を確保していないとやっていけないので。電車に乗った。人の数はやっぱりちょっと減っているが、夕方夜の帰宅時間になると、うげえ都会にはこんなに人がいるのかを6割7割再現した人並みだった。いくらアラートが鳴ったところで、行かなければいけない時は行かなきゃならんのである。社員研修だと1ヶ月休んで、そのまま今の今までずっと店が閉まったままで埃が溜まっている店が近くにあるが、あそこは大丈夫というか、まだ生きているのだろうか。ただのテナントになっているんじゃないかと思う。別に何をしたわけでもなかったが疲れたので、ナポリタンを食って帰ってきた。調味料のタバスコというと、あの小さくてきゅっとした、妙薬然としたビンのものしか思いつかない。子供の頃、母がなにかにあのタバスコを好んでかけていた事を思い出した。昔は、辛いものが好きだったのだっけか。

家形船

天気の悪いルーチンに戻った感じがある。太陽が見えるだけでどれだけありがたい事なのか、後ろ向きな方向で痛感させられているのを感じる。明日くらいが再度の洗濯周期なので、ぴかぴかに晴れずともせめて雨が降らないくらいの天候を希望する。幻かと思ったが、やっぱりまだ埃蛆複合体は玄関に残留していた。あれ、本当にどうすればいいんだ。向こうの人生でもう一度見る事はないほどにはレアな物体だが、画像データを残したくはない。端末まで汚くなる気がする。あそこで干からびた蛆の怨霊が乗り移ってきそうな気がする。もうしばらく持て余しそうである。寝付きは多少改善されてきたが、「寝付くポーズにつくまで」が長いままだ。眠気が降りてこないので、銀魂のアニメを観ながら、身体から本能的なシグナルが送られてくるのを待っている。だんだん、どこかの段階で、下瞼と眼球の間くらいに、眠気の地平線みたいなものがせり上がってくる瞬間があるのだ。それがくると、胸の中がゆっくり空っぽになっていって、そろそろ寝てもいいかなという気になってきて、その辺で布団に倒れる。タオルケットが気持ちいい。どっちが表でどっちが裏なのか分からないが、普通のタオルケット生地、がちょっとポリエステルっぽくなった方と、ニトリの冷感生地を存分に感じる方と、その時の気分と気温に従ってひっくり返せばいいので都合が良い。幼少期からのタオル地好きが続いているのでタオルタオルした方が好みではあるが、肩か首まで何かをひっかぶって寝る方が落ち着くので、そうしても暑くなりすぎない冷感生地の方も大変役立つ。いつ買ったのか覚えていないが、これはいい買い物だったのではないか。今だともっと改良されたものも出ているのだろうけど、これがあるのならこれでいい。銀魂を観続けて、土方のせいで頭の中にマヨネーズが堆積したのか、なんかマヨネーズを無性に摂取したくなって、卓上調味料にマヨネーズがある油そば屋に行った。前行った時は、やたら甘くてあまり好きではないという結論に至ったはずだが、マヨがそれを凌駕したマヨ。ちょうど、真後ろでバイトの面接をしていて、採用候補が帰った後、責任者らしきにいちゃんが、厨房の同僚に向かって小さな声で「採用」と言っていた。その時、受け取った履歴書が入った封筒を紙でぽんと叩いていて、そのジェスチャーをするやつ、本当に実在するのかと衝撃だった。やろうと思わなければ、あの動きはできない。油そば自体は、前と感想は違って、麺自体の味が感じられないというものだったが、やっぱり好きじゃなかった。

ジャムを壁に塗る

燃えるゴミを捨てた。まだスペースはあったが、夏季にゴミを出し渋る事のリスクを実体験している身としては、早々にリスクヘッジが必要だと判断し現行のゴミ袋も捨てた。リスクヘッジの意味は今だによく分かっていない。玄関に放り出していたゴミ袋を持ち上げると、なにかこんもりした、ふわっとした物体が落ちているのに気が付いた。ゴミ袋の底が破れているわけでもないから、外因的な何かなのだろう。寝ぼけ眼をぐっと近づけて見てみると、悲しい事に悲鳴を上げるほど感受性は残っていなかったが、理性の深いところで嫌な音は聞こえた。ちょうど親指一本ぶんくらいの長さ太さを誇るそれは、まず第一に埃の塊だった。玄関のドアを開けるたびに、ゴミ袋と気流の関係がなんかいい感じになり、ちょうど背後に隠れるようにして、埃のコロニーが形成されたようだった。ここまではいい。ただ埃が堆積しただけという、可愛らしい話だ。問題はその特質であり、埃の中にぷつぷつと混じっているもの、その正体がきもちわるかったのだ。発酵に発酵を続けて独特の臭気を放ち続けるゴミの総体に惹かれたハエが産みつけた卵が孵化し、爆裂に生誕した蛆の死体が無数に絡まっていたのだった。あそこまでフェーズの進んだゴミから蛆が湧かないはずはなく、しかし玄関のどこにもその姿がないため、もしかすると袋の中でみなみな軒並み死んでいるのかと思ったが、一応進出はしていたらしい。ただ、そのリーチが圧倒的に短かっただけで。埃と枯葉の欠片のようなものが一緒くたになった塊は、秋冬、乾いた路肩でしばしば見かけるが、こんなタイプは初めて見た。ただただ、微細が積み上がって不快だった。表情は動かないが、感情が不快との結論を出すだけの、そんな不快だった。傘を差そうと、ゴミ袋を2つ片手に持って悪戦苦闘しながら玄関ドアを開けると、ヒンジ部分に隠れるあたりに、もうひとつ、小さい蛆・埃コンプレックスが形成されているのが確認できた。最近、玄関口でうろちょろする蟻をよく見かけるようになっていたのは、蟻が蛆の死骸を目当てにぞろぞろ続いていたからだったようだ。どう掃除すればいいのか、表に掃き捨てるでも、植栽のあたりに放るのでも、門を出たすぐにある下水道に落とすのでもいいのだが、日常の中にありありと浮かび上がったグロテスクな物体に、迷っている。そして同時に、これにWirklichkeitを、あるいはdas wirklicheを感じた。

ウミウシスポンジ

部屋が暑くて温度が下がらないせいか、PCの排熱がものすごく、キーボードまであちあちになっている。いくらマックブックのProとはいえ、一世代前で発売年はそこそこ前だし、スタイリッシュなあまりどこから排気すんねんこれと思う構造をしているので当然と言えば当然なのだろう。そこまではいいとして、めちゃくちゃ熱くなるのでそれがパフォーマンスにも影響し、ブラウザがしばらく反応しなかったり、クリックが5秒遅れくらいで反応したりと、ちまちまと地味なところで操作性を阻害してくる。保冷剤やら冷えピタを当ててみても大して変わらないので、夏の間はこんなもんだと割り切っていくしかない。据え置きのPCもWindowsで欲しいのだが、机周りをどう好意的に見ても置く場所がないので困る。一応、机横のラックを整理すればそこに本体は置けるだろうが、モニターとか周辺機器をどうすんだという新たな問題が発生するので悩ましい。これ以上部屋の中に机を増やすわけにもいかない。候補地がないではないが、すると押入れの中がさらにぱんぱんになり、押入れの中に本棚を設けて整理が必要になり、作業量が雪玉式に増えていく。部屋の風景づくりが壊滅的に下手くそだというのもあるのだろうが。最低、本棚さえあればよい。何かを飾る趣味とかもないし。本棚だけは切に必要である。すでに溢れて久しいので。ほんのり晴れたり、だいたい曇りだったり、一瞬びちゃびちゃ雨が降ったりな日だった。しばらく捨て忘れて玄関に根を張ったかに思える燃えるゴミが高度に発酵し、玄関に近づくだけで本能をちくちくと刺す臭気を発するようになった。嫌がらせで生ゴミを被せるのならば、その日や昨日のものなんて生ぬるいものではなく、2週間3週間前のものを被せるのがよい。匂いだけで覿面に精神に響くので。ちょろちょろとアリがうろついているのも確認し、どうやら玄関ドア下部には隙間があるらしい事も分かった。ある日、玄関前に突然中くらいサイズの物置が置かれた。大家さんサイドの突き出し屋根の下にもいくつか物置があったのだが、それでは足りなくなったのだろう。で、その左扉に、ドラえもんどくさいスイッチみたいな謎の機器が取り付けられていた。それが何なのか、正体がさっぱり分からないので、もしかして監視カメラなのではないかと想像して一人で震えていたのだが、この前帰宅して鍵を差し込もうとしたら、背後が突然明るくなった。ルパンがスポットライトを当てられたかのような気持ちで背後を振り向くと、その謎の装置がめちゃくちゃ発光していた。謎の装置は、取付式ライトだったらしい。大家さんやさしいな、と何度目か分からないが思った。

顔面のホワイトノイズ

晴れた。雲の隙間から奥ゆかしく顔をのぞかせるのではなく、分かりやすく、空が青く、太陽がぴかぴかして、雲が千切れて少ししかなかった。晴れだ。夏の日の、洗濯物がよく乾きそうな日和だった。まともに洗濯できるのは何日ぶりだろうか。掛け布団敷布団のシーツも、枕カバーも、洗ったけど生乾きのまま宙ぶらりんになっていたタオルケットも、大判な洗濯物を片付ける機会なんて次はいつか分からんぞと思って全部洗濯機に突っ込んだ。昨日あれだけ言って恥ずかしかったが、買ってきた液体洗剤もアタックなら、今まで使っていた粉洗剤もアタックだった。でも、液体の方がいい匂いがする。なんでだろう。値段の差か? 掛け布団のシーツを剥ぐたびに、前回ガムテープやら掃除機やらで丁寧に除去したはずの髪の毛なり埃なりが一定量溜まっている。どういう原理、ルートでそこに入り込んでいるのか。スプレーするタイプのリセッシュみたいなやつを買ってこようと思って忘れていた。敷布団はどうにもいかんともしがたい。でかいベランダでもあれば、今日みたいな日に干す事もできるのだろうが、部屋の中から半身乗り出して担ぎ出すのはちょっとしんどい。年始に帰省した時に観た、確かがっちりマンデーだったと思うのだが、布団も洗えるコインランドリーを展開する企業の話を思い出す。500円くらいで、布団みたいなでかくてかさばる厄介なものも洗濯できてしまうらしい。家の洗濯機だと、デスメタルフェスみたいな轟音がして挙句壊れそうな気がするから、そういうサービスはいいなー、と思った。家の近くにはない。特にやる事を思いつかなかったので、しばらくずっと銀魂のアニメをまた垂れ流していた。面白いな〜。銀魂面白いな〜。シリアスな時はずっとシリアスなのに、途端にガクッとギャグパートに戻ったりする。観やすいのはTVシリーズだからかね。今4年目まで来て、あと何年あるんだこれ? アマゾンの区切りだと1シーズン50話くらいあるから、なんかまだいっぱいありそうだな。食料もちょうど切れたし、夕方の散歩がてら外に食いに行った。今日はまだ涼しい方で、日が沈んだ後ぷらぷら歩き回るにはちょうどよかった。名前だけ知っていた洋食屋に行ってみた。ちょっと遠かったが、散歩ついでなのでまあ。ハンバーグとチキン南蛮のプレート、それに豚汁が付いていた。ソースが結構しょっぱくて、でも皿の上に、あの、パプリカ色素の化け物みたいな「ザ・スパゲッティ」が乗っていて、ジャパニーズ洋食という感じがした。かなり美味しくてボリュームもあった。今度また行くかもしれない。

ガスコンロフライト

曇りかと思ったら晴れた。午後、通り雨みたいなのが止んだ後に、6割くらいの晴れが見えた。久しぶりに見る晴れだ。曇りでもええわと外に出し、通り雨のせいで屋内に避難させていた洗濯物を、堂々と表に出した。さっき取り込んだら、ちゃんと乾いていた。干していて、そして乾くというのは、当たり前だが大変ありがたい事なのだなと思った。洗剤アタックは、想像よりもずっとサラサラしていて、全然ネバネバしていなくて、なんかこういう事書くと、エロゲの各ヒロインごとの膣分泌液の性質の違い描写を思い出さないではないが、うっかり床にこぼすかと思った。液体タイプだと、こんなちょっとでちゃんと洗濯できるんかいなと疑ってしまったけれど、洗濯機の蓋を開けた時に、これは優秀だなと思った。粉洗剤で洗った時はなんだか水っぽい匂いがするのだが、アタックは無香料系の、さりげないささやかないい匂いがする。香水とか芳香剤とか苦手なので、こういう方がよい。香水ほんとに苦手なんだよなあ。つけるなら卵ボーロの匂いとかにしてくれ。卵ボーロの匂い……? 出窓の下に広がる砂利地帯、その奥の方に洗剤を落としたとかなんとかで、近隣住民から呼びかけられた。すいませーん、なんて言われても、まさかこちらに声をかけているとは考えづらいので、しばらく、向かいのアパートかどこかの客かなと思っていた。どうやったらあんなへんちくりんな場所に洗剤落とすんだと思ったが、ベランダが少し差し掛かっているアパートがすぐ隣にあるので、多分そこの人かなー、と想像される。そこの住人の一人が、敷地前に出てタバコを吸うのだが、ちょうど風向き的に私の部屋に煙が入ってくるので、毎度毎度このやろうと思っている。やる気が寸分も起きなかったので、書留の書類の中身を確かめ(ポストの中にもう一個あるのは確認済みだがめんどくさいので見てない)、今度区役所に行かなければいけない事は確認した。なるほどね……。買ってきた残りの本でも読もうと思ったが、かなり内容が真面目なので、もう少し頭というか、精神がしゃっきりした時に読まないとさっぱり頭に入ってこないだろうと経験則的に判断したため先送りとした。熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』。この人のブログは面白いので、そして新しい記事が上がると大体トップページまで登ってくるので読んでいる。頭の中で考えた事、浮かんだ事を、すぐ手近にある言葉ではなく、できるだけ輪郭を正確に削り取ろうとする言葉で手繰り寄せる人は信用している。

跳弾

賞味期限が4日くらい切れたイングリッシュマフィンを食べ終わった。そもそも、あの商品自体が店で買ってきてから3日ほどしか猶予がないので、一人だと持て余す事の方が多い。日を経るにつれて、あからさまに水分を失い、もちもち感がなくなるのは、恐ろしく正直な食べ物だなと思った。一応期限を切っているのだから、その期限を超えると何かしらのペナルティがあった方が、私は落ち着くのだ。残っている卵の消費期限は明日だ。卵が10連になっているあのパックは、毎回毎回捨てる時にやたらかさばって邪魔くさい事この上ないので、もう少しどうにかならないものかと思う。日本ではあまり見ないが、ヨーロッパだと再生紙でできた容器もある。あれは捨てやすいのでよかった。ちょっといいやつでないと、その包装タイプじゃなかったような記憶もある。紙よりプラの方が安いのかね? 就寝時につける手袋が、洗濯した後気持ちよく乾かないのでしばらくつけていない。ので、手荒れの治りが少しだけ遅くなった。季節の変わり目に唇がむやみやたらと乾燥する事があったから、この前までのひどい手荒れは、それの亜種現象だったのだろう。朝から、分厚い卵焼きみたいにどんよりした曇りだったが、夕方にはぱらついていた雨も止み、太陽が見えるまでは至らなかったものの、空がまともに明るくなり、青空がちょこっと覗いたりした。夏っぽい、粘土の表面をへらで押し進めたような、ヒダとヒビの中間みたいな雲があった。アース製薬のコバエ絶対しばくスプレーだが、噴霧から(ふんむって発音面白いな)2日ほど経つが、確かにコバエが全くいなくなった。ゴミ袋の中で死んでいるのか、換気扇辺りから外に出て行ったのか、姿を見せない。ゴミを軽く押し込むと、申し訳程度に一匹飛び上がってきたが、それくらいだった。ただスプレーを一回ぷしゅっとしただけなのにこれほどの効果とは、製薬会社ってすげえなと思った。食料の買い足しついでに、部屋干し臭をしばき倒せそうな洗剤を見繕ってきた。以前見かけたものは香料がきつそうだったので遠慮して、棚の前であれこれうんうん唸った挙句、安定のブランド(だと思っている)アタックのいいやつを買う事にする。色んな洗剤に部屋干し臭防止、とかなんとか書いてあって困ったので、最後はブランドで決めたわけだ。ブランドの力をこういう時に感じる。明日がお洗濯デイなので、アタックの対部屋干し臭能力にすがりながら、またカーテンレールの湿った布類を更新しなければいけない。

からのザ・サン

起きたら雨が降っていたと、あと何回書くのだろうか。よくもまあこれほどの雨が溜め込まれていたと思うほどひっきりなしに雨が降っている。小さい頃に科学館で見た仕組みで水分は循環し雨が降っているのだろうが、それにしてもやり過ぎである。カレーがご飯に出てきて我慢できるのは、保って4日くらいだ。いや、1週間くらいならずっと同じメニューでも平気か……。ともかく、さすがに同じ光景をずっと見ていると飽きる。それはもう飽きる。ついでに、私の家の前にコンビニ飯のゴミを捨てていったやつがいる。前の路地を通る住民なんてそれほど数がいないのだから、一日張り付いて通行人を問い質し続ければ犯人は分かりそうなものだ。それとも、ゴミをポイ捨てするような人間は、捨てたゴミのことなんてさっぱり覚えていないものなのだろうか。覚えてなさそうだな、という偏見がある。どうなのだろう。曇天悪天候と睡眠習慣の悪化が重なり、ずっと頭がふわふわしてまとまりがない。いつもまとまりがないと言えばそうなのだが、思考が全て、ほんの少し上方へ引っ張られているような感じがあって落ち着かない。バスタオルが乾かない。洗濯物が乾かない。顔を洗った時にタオルから部屋干しの匂いがする。お世辞にも気持ちの良い朝ではない。ハンガーで干した洗濯物の数々が、まるでカーテンのようになって久しく、なんかベルリンの壁みたいである。すごく適当な事を言ったな。さっき飯を食ってきた店で流れていたテレビから、梅雨前線停滞、あと一週間は同じ天気、などなど、全く気乗りしない天気予報が聞こえてきて、もう終わりかと思ったバックグラウンドとまだまだランデヴーが残っていると知り、うげえとなった次第である。べちゃべちゃに雨が降るので、買ったばかりの一本傘を使う機会に困らないのはいいところか。折り畳み傘のささやかなガード範囲に比べると、直径に十分なゆとりがあり、傘差してるのに濡れるじゃねえかという気持ちが湧いてこない。ひとつ、ちゃんとした傘を持ってみて思った事がある。重い。折り畳みじゃない、傘然とした傘は、とても重い。なんだか、腕にかけていると存在感がのしかかってくるようだ。ゴルフのクラブを持った事も、たしか記憶の限りではゴルフもやった事ないが、最近軽量化が進むらしいにしても、クラブに見立てて振るのは的外れではないのかもしれないと思わないでもない。明日は食料を軽く買い足しに行かなければならないので、その際に部屋干し臭防止薬剤でも買ってくるか。

立体的間違い探し

曇りだ。すんごい曇りだ。一日中部屋が灰色で、外も灰色で、気が滅入る、まさに入滅しそうな日だった。晴れないという事が、こんなにも精神に負荷を与えてくるものだと久しぶりに思い出した。イギリスで生活していた人生のあの辺を思い出す。部屋干し2日目だか3日目だかを迎えたハンガーの衣群が、昨晩から形容しがたい湿臭さをぷんぷん振り乱している。すごい。めちゃくちゃ湿臭い。カビとかではなくて、部屋干し生乾きのあの臭いが、たまにぶわっと膨張して嗅覚に訴えかけてくる。さすがに乾いたかと思ってタオルケットを下ろしてみたら、軽く身じろぎするだけで臭いがぷんぷんし、寝返りを打とうものなら、特殊なカメラで撮影した、きのこの胞子がぽーん! と飛び散るあの様を彷彿とさせる臭いの拡散具合で、こんなん就寝どころじゃねえわと再びハンガーに戻した。少なくとも、あと4日くらいは天気予報は雨雨曇り曇り雨みたいな感じである。男女男男女男女じゃねえんだよ。バスタオルも着替えも、全部どうしようもないのでその臭いが付帯しており、部屋を締め切らないと蒸し暑くて敵わないが、部屋を締め切ると臭いがきつくて敵わない。夏、いきなり難しいなと思った。ジャムが残り少ないので、どうしようかと思って、イングリッシュマフィンにオイル漬唐辛子を乗せて食ってみた。塩胡椒で少々味付けしたら、食えなくはないがなぜこれを食っているのか分からない代物ができた。まずいわけではない。この唐辛子、クラッカーにチーズでも乗せて、いちストリップ(細長く切ってあるので)添えるのならいい感じになりそうではある。今も以前も変わらぬ欠点として、摂取するとお腹が痛くなるというどうしようもないところがあるが、これは私の胃袋の粘膜に依るものなので仕方が……ないのかなあ。武田砂鉄が挙げていたので、石井妙子『女帝 小池百合子』(文藝春秋)を読んだ。小説以外の読書の指針は、ひとりかふたり定めておくと選びやすいと最近分かった。良くも悪くも今をときめく都知事小池百合子の生涯を追ったルポルタージュなのだけど、第二章「カイロ大学への留学」から終章までずっと、なんでこんな嘘が堂々と罷り通ってきたんだと、こっちが正気を疑いたくなるくらい嘘が塗り固められていく。海外の教育事情は少なからず知っているから、カイロ大学首席卒業なんて嘘っぱちを、と思っていたが、話はそれだけに止まらず、読了後、カバーの小池百合子を見て、「オマエは一体誰なんだ?」と浮かぶほど、虚実入り混じった(虚の方が多い。とても)人物なのだなと知った。著者には多大な敬意を払いたい。

もにょもにょしてぐねぐねした

今日もすげえ寝付きが悪かった。いつも寝付きの事を書いている。飽きもせず倦みもせず。私が日記を書き始めたきっかけは、漫画家うさくんがだいたい毎日更新しているちいさなブログを見るようになったからで、うさくんの自分を大事に、やさしく丁寧に扱う姿勢をリスペクトしているため、毎日何を書いても良いのである。それが、目下の一大関心事である、という事でもある。とりあえず寝られなかった。掛け布団をかぶると暑い、素身で横たわるとなんか微妙に寒い、空調をつけても好転しない。一体どうすればいいのかと思って、ハンガーにかかったまま、一日の部屋干しを経たタオルケットをかぶってみれば、生半可に乾いていて、肌と接地したところから湿気がじわりと皮膚に浸透してきて、それが蒸し暑さを誘発してべたべたして不快なのなんの。こいつは無理だ、期待した俺がバカだったとハンガーに戻すまでそう時間はかからなかった。誰も、何も悪くない。ただ、これが自然の流転する結果なのである。で、いつものごとく、外がほんのり明るくなるくらいに意識が落ちた、ような記憶っぽいものがあるような気がしている。覚えているようないないような、頭の中がぐちゃぐちゃでとろけた生ゴミみたいになっているため、分からない。たまに晴れ間がのぞいて、一瞬だけでも干しちゃろうかと思ったものの、やはりギリギリ可視範囲の小雨がぱらついていて、気持ちよく洗濯物を乾かせる日はしばらく来なさそうである。台所のゴミ箱周辺に湧くコバエ対策のため、ドラッグストアへ出かけた。コバエがホイホイ的な、コバエをどうにかする系グッズの中に、スプレータイプのアース製品があった。ちっこいゼリー容器をいちいち気にするのもめんどうなので、これを買ってみる事にした。ワンプッシュでコバエが死滅するらしいので、お手並み拝見といこうではないか。郵便局で金を卸そうかどうか迷ったがやめて、そのまま本屋に行った。いくつか、欲しい本があった。熊代亨先生の本とか、武田砂鉄の新刊とか。ついでに何冊かふらふら買った。本屋を徘徊して衝動買いしたのは久しぶりである。R18指定じゃない区域に、内容的には明らかにセクシャルな本が並ぶ棚があって、こういうの、どういう扱いするんだろうなと思った。女医が教える本当に気持ちのいいセックスって、今ブックオフでいくらくらいなんだろうね? 武田砂鉄『わかりやすさの罪』を読んだ。めちゃくちゃ分かりにくい。表紙がプレーンにしてあるのに、何かしらの意図を感じる。たぶんずっと同じ事を言っているのだが、そのぐねぐねした道のりが全て違う(そう思った)。ずっと具体例で話をしているので難しくないのだが、なぜだか難しい。面白い本だ。