他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

failure to be

昨日考えていた、何を書こうと思っていたのか忘れてしまったそれについて、思い出した。もしかしたらこれではないかもしれないが、これも書こうとは思っていたので間違いではない。牛乳が凍っていた。牛乳をコップに注ごうとして(私はこれを場合によって適宜「そそぐ」「つぐ」と読み分けているのだが、そのような文脈に対する思考がない発話を見ると、とんでもなくがっかりする)、牛乳パックの中でやたらカンコロコンコロ、物体が肩をぶつける感触があった。何か虫でも入ったにしては、その重量感が並ではなく、異物混入というわけではないようだった。ふざけた菱形の口に見える注ぎ口から覗き込んでみると、キューブのようなアイスが、アイスキューブが白濁の中をゆらゆらと揺れていた。はて。牛乳って凍るんだっけ。脂肪とかなんとか、何かしらの栄養素が含まれているし、しかしそれらが本質ではなく、これもまた水ではあるのだから、凍りはするのだろう。凍りは。今まで凍った事も凍らせた事もなかったので、想像しなかっただけだ。牛乳は凍る。フルーチェも、冷凍庫に入れれば凍ると思う。やった事はないが。牛乳のうちにある水分のいくらかが可視化されているわけで、つまりこれはもう牛乳ではないのかもしれないと思った。牛乳ー水分=? 人生でやった覚えのない引き算だ。見た目は依然牛乳であったから、直感的に牛乳である事に変わりはないのだが、やっぱり何か違うものなのではないか。飲んでも、味がすっとぼけているというか、何かの匂いがするだけの水っぽい水といった感じで、これを牛乳だと当てさせるクイズをやったら、正答率はかなり低いと思う。クラフトボスだっけ、薄っちょろい、軽いコーヒーみたいなやつ、あれの事を、コーヒーを飲み終わった後のコップに入れた水の味と評している人がいたが、それに近い。牛乳が入っていたコップに入れた水の味みたいだった。気配がするだけだ。安い果実サイダーよりも、もっと。この前もらった、よく分からんソーダは、そういえば、ジェネリック三ツ矢サイダーとしか言いようのない味がしたな。そのものと、それの代替という周辺は、いっぱいある。もともとがかなり美味しい(と私は思う)牛乳であったから、毒気を、あるいは骨を、抜かなくても、水を抜くだけで、そのものである事を破壊できるのだなと思った。思ったよりももろい液体なのだな、牛乳とは。イギリスで、ちっこいショップで買った牛乳が、翌日たちまちのうちにダマになってぼとぼとしていたのを思い出す。