他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

教導の灯

髪が伸びていた。前髪を掴んで、頭頂部の方へ指の輪っかで縛り上げ、束を掴んでぴこぴこする遊びができるくらいに。切りに行った。今日は、高校の時の数学の先生に似ていると思っていたが改めて見るとそうでもない気がしてくる人に切ってもらった。何回かあの店に行っているが、あの人が一番、何と評すべきか、髪を触られるという行為に魂が慄(おのの)かない。性格というか、魂の柔らかさが顔にある。そういう意味では、大学の時のドイツ語の教授の方がイメージとしては正確だ。物腰柔らかで、マイペースで、しかし業績と学殖はとんでもなく、私のようなのが同じ場所にいてよかったのだろうかと今になってみれば思う。髪を切り、昨日から腹中暖めていた計画があった。私の中で、獣が叫んでいたのだ。それは、ファービーのような獣であったかもしれないが、しかして獣というに違いなかった。うんとこしょ! というところまで、肉を食べたい、と考えていた。うんとこしょ、のところは、私でさえピンとこないので、適宜欲求の渇きと、その地割れから響く長細い、しかし染み込みまとわりつくような恐ろしい声を表現するような掛け声とかに置換していただきたい。それっぽい店はどこだ、と思ったが、牛角にした。私は、まだ、牛角以上の焼肉を食いに行くにはレベルが足りない。人生初の、一人焼肉である。実績解除。そもそも、私は自分から飯に誘った事がある人間しか飯に誘えず、それだって昨日布団の中で数えたら5人くらいしか生涯でいなかったので、一人でできるもんコンテンツをどんどんエキスパンションしていく必要があるのだ。よって牛角とする。人生で行ったのは、3回目くらいかもしれない。私のEXP値は、まず必要ない分野だけ潤沢なのだ。一人で、食べ放題コース。やるのは初めてだった。ドキドキした。なるほど、人間これを失えば衰え朽ちていくのやもしれぬ。最初に来たタンと塩キャベツを食べながら考えていたというのは真っ赤な嘘である。生肉だけに。私の後からもどんどん人が来たが、みんな複数人連れだった。自粛とは何だったのかという気もした。私にはぶっきらぼうだった店員が、横の男女2人組には普通だったのもちょちょぎれた。まあ、私は可愛くない人間だけれども。客の入りに対して、どう見ても、そしてどう体感しても、ホールスタッフが、そしてもしかするとキッチンスタッフも足りていなかった。まともに出てきたのは最初の30分くらいだけで、段々モノが卓に来なくなった。多分、20分くらい、ナムルをもしゃもしゃしながら本を読んで時間を潰していた。やげん軟骨とかが食べられて嬉しかったのだが、一番うまかったのはもしかすると、薄切りぺらぺらのエリンギだった。肉を食うてこそそう思ったのかもしれないが。帰りに本屋へ寄り道し、移動時間に読む用の、筒井康隆の文庫をしこたま買った。ポルノ惑星のサルモネラ星人だったか、新潮所収の中でもとりわけ下品でぶっとんだやつが、どこでも見ない。顔面崩壊とか、もう一度読みたいのだけど。今日は3個も行動を起こし、すごいなと思う。